共同通信配信記事より

障害年金ビジネスに疑問の声

社労士セミナー展開
背景に不親切な窓口対応

共同通信社配信

 障害年金の申請手続き代行で業績アップを―。そんなうたい文句で、大手コンサルタント会社が社会保険労務士向けに経営セミナーを展開している。当の社労士からは「もうかるから障害年金を始めようというのはおかしい」と疑問の声も上がるが、新手のビジネスの背景には、障害年金関連の手続き事務が難しく、申請窓口となる年金事務所の対応が不親切なことなどもあるようだ。

 ▽ノウハウ指南

 「障害年金に参入して年間売り上げ3500万円達成」。このコンサル会社が主催する経営セミナーの勧誘資料は、社労士事務所の経営改善に役立つと強調。「1件あたりの報酬平均単価が20万円以上」「競合が少なく、成果を出している事務所も多数」「リスクが最も少ないマーケット」と説明する。セミナーの参加料は2万円強だ。

 共同通信が入手したセミナー資料では@ホームページ(HP)や新聞広告による集客法A電話対応で契約につなげるノウハウB病院や保険会社を通じた営業手法―などを具体的に指導。「困っている人を助けられる意義のある仕事。より多くの専門家が求められている」としている。

 同社がこうしたセミナーを始めたのは2010年ごろ。別の勉強会では申請に必要な診断書を医師にどのように書いてもらうかの指南書や、実際の申立書を配布。開始時に400万円程度支払うと、HP制作などの個別サポートを受けられる。こうした会社の影響もあり、障害年金を扱う社労士は近年、増加傾向だ。

 ▽医師の不信

 だが障害年金に関する厚生労働省の専門家検討会では、医師の委員から「『診断書をこう書いてもらえれば(支給の審査を)通る』と教える社労士がいる。そういう企業体があるようだが、いかがなものか」と懸念する意見も上がる。

 医師が社労士に不信感を持ち協力を断るケースもあり、本来ならば年金を支給されるべき人まで影響を受けているとの指摘もある。

 同社の担当コンサルは「(指摘されている点に関し)責任はあると思うが、申請は一発勝負のようなところがあり、難しい案件は社労士がやった方がよい」と話す。

 ▽申請に労多く

 障害年金の申請には10種類程度の書類が必要になるほか、医師に診断書を書いてもらわなければならず、労力が大きい。

 年金事務所や市町村の窓口対応が配慮を欠き、自分では手続きできないため、社労士に頼まざるを得ないケースも後を絶たない。ある障害者団体の幹部は「申請を難しくしている厚労省、日本年金機構にも問題がある。本人や家族だけでもできるような仕組みにすべきだ」と訴えている。


(記者付記)

この記事には盛り込んでいませんが、このコンサル会社の支援を受けている、ある社労士の方にお会いしてお話を伺いました。その方はそれなりに「障害者のために」という思いを持っていらして、決して「あこぎな社労士」ではありませんでした。ある意味、真面目でいい方とも言えるかもしれません。

ただ、審査請求 [藤原年金研究所注:不服申立] の報酬はかなり高く設定しており、事実上受けないようにしていて、ご本人も審査請求までしようという意欲は感じられませんでした。また、初診日を特定できずに受給できなかったケースなどを聞いたのですが、私が取材を通じてお会いした他の社労士さんなら、もっと手を尽くしたのではないか、審査請求までやるのではないか。そう感じざるを得ませんでした。実務経験のない私がそんなことを言うのはおこがましいのですが、しかし他の社労士の方から感じた「覚悟」「矜持」「闘争心」といったものが感じられなかったのです。

この社労士に依頼した障害者の方はおそらく「社労士の先生に頼んでも無理だったのだから、仕方がない」と諦めているでしょう。「他の社労士に頼んでみよう」とまで考える人はほとんどいないと思います。そう考えると、やはり複雑な思いがします。

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