共同通信連載企画「障害年金を問う」より

(4)理由不明の減額

 すでに障害年金を受給している場合、その障害の状態によって数年置きに更新の手続きが必要となります。その際認定基準に変更がなければ、前回と程度が同じの場合、それまでと同額の年金が引き続き支給されることとなります。

 ところが最近、更新の際、障害の程度が変わらないのに、理由も明らかにされないまま、等級が下げられて年金額が減額される事例が見られるようになっています。

理由不明の減額

同じ診断書、異なる判定
 等級が二転三転

共同通信社配信
(掲載誌は下記参照)

  障害の状態は変わっていないのに、年金額を決める障害等級がころころ変わる。40代で身体障害のある 高橋彰 (たかはし・あきら) さん仮名)=中国地方在住=は、この3年半の間にそんな経験に見舞われた。

 高橋さんには筋肉が自分の意思とは関係なく動いたり、まひが出たりする神経疾患がある。10代のころに発症したが、症状はそれほど重くなかったため、大学卒業後に企業に就職した。

 その後病気が悪化し、障害年金を申請。2011年11月、障害厚生年金2級の受給が決まった。

  障害年金は、手足の欠損など症状が変動しない場合を除けば、1〜5年ごとに更新手続きが必要なことが多い。診断書を提出し、障害の重さが変わっていないか、日本年金機構の審査を受けなければならない。

 高橋さんも13年と14年に更新があった。13年は2級のままだったが、14年10月に「障害の状態が変わった」として、最も軽い3級に変更する通知が突然届く。年金額は月約11万円から約5万円と半分以下に減らされた。

 「なんで?」。高橋さんは面食らった。なぜなら、診断書の内容は11年以降ほぼ同じ。障害の状態は全く変わっていなかったからだ。

 このとき、高橋さんは神経疾患に加え精神的な不調で既に仕事を辞めていた。月約5万円ではとても生活できない。納得できず、不服を申し立てた。

 中国四国厚生局が高橋さんの主張を認め、3級の判定を取り消したのは今年3月。再び2級の月約11万円が受け取れるようになったが、高橋さんは今も釈然としない。

 不服申し立ての代理人となった社会保険労務士の 安部敬太 (あべ・けいた) さん(東京都)が、障害等級を審査する年金機構の医師(認定医)の判定文書の開示請求までしたが、理由の欄には「軽快」と記されていただけ。なぜそう判断されたのかは、厚生局の決定書でも明らかにされず、今に至るも闇の中だ。

 理不尽な判定に「怒りを通り越して、あきれる」と高橋さん。安部さんは「これが障害年金行政の現実。審査の手法を根本的に変えない限り、『障害者いじめ』のような判定が繰り返されるだろう」と指摘する。

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審査はほぼ書類だけ

 障害年金の申請や更新の際は、かかっている医師に診断書を書いてもらい、日本年金機構に提出する。機構が委託する医師(認定医)が障害の等級を判定するが、ほとんどの場合、審査は診断書など書類だけで、申請した障害者を認定医が直接診ることはない。障害基礎年金は各都道府県の認定医が審査し、地域間で判定にばらつきがある。障害厚生年金は機構本部が一括して審査する。


掲載誌(順不同): 東奥日報(青森県)2015/05/11朝刊〜; 河北新報(宮城県)2015/05/12夕刊〜; 秋田魁新報2015/05/11朝刊〜; 山形新聞2015/05/12朝刊〜; 北國新聞(石川県)2015/05/13朝刊〜; 埼玉新聞2015/05/11朝刊〜; 千葉日報2015/05/12朝刊〜; 四国新聞(香川県)2015/05/11朝刊; 西日本新聞(福岡県) 2015/05/13夕刊〜; 長崎新聞2015/05/11朝刊〜; 熊本日日新聞2015/05/13夕刊〜

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