共同通信連載企画「障害年金を問う」より

(6)年金機構の実態

 数々の不祥事により解体された社保庁にかわり設立された日本年金機構ですが、障害年金に関してはサービス面も実務も著しく悪化しており、今から思えば、社保庁時代の頃のほうが、どれだけマシだったかと感じることがしばしばです。

 設立されて数年たち、社会保険の知識や経験のあった社保庁時代からの職員が少なくなるにつれ、最近では”ド素人”集団としか考えられない、あきれるばかりの対応を受けることが増えてきました。

年金機構の実態

マニュアル偏重、厳格化
 組織の矛盾、受給に影響

共同通信社配信
(掲載誌は下記参照)

 障害年金で「意地悪」ともいえるような対応が尽きない日本年金機構。元職員らに話を聞くと、年金機構という組織の抱える矛盾が、障害年金の対応に凝縮して表れていることが分かる。

 多くの人が受け取る障害基礎年金は、年金機構が都道府県ごとに置く「事務センター」で支給の可否を判定する。医学的な審査は医師に委託しているが、その前に職員が「前さばき」して一定の分類をするのが通例だ。

 型通りの審査で済む老齢年金と違い、障害年金は障害の重さの判定や、受給要件となる「初診日」の解釈などで医師、職員双方に裁量の余地が生じる。OBの一人は「社会保険庁時代は職員が曲がりなりにも公務員だったので『できるだけ支給してあげよう』という意識があった。今はそうした気風はない」と話す。

 取って代わったのが、偏ったマニュアル主義だ。関西地方の年金事務所を今春退職した男性は、いったん受け付けた障害年金の申請を事務センターではねられたことがある。理由を問い合わせると、返答は「マニュアルにこう書いてある」。

 「でも、そんなことは法律には書かれていないし、法の趣旨から外れている。何のためのマニュアルなのか」。男性はため息をつく。

 障害年金の不支給割合が高い県の女性元職員は、事務センターの職員について「とにかく、しゃくし定規に重箱の隅をつつく。福祉の理念や障害年金を扱う重みよりも『きっちり審査したぞ』という変な仕事熱心さが感じられた」と振り返る。

 「消えた年金」をはじめ不祥事が相次いだ社保庁の後を継いで年金機構が発足して5年余り。移行時に多くのベテランが辞めた上、昨年から今年にかけては、経験を積んだ有期職員が契約更新の期限を迎え、千人以上が「雇い止め」とされた。

 知識や経験が蓄積されない中、「窓口の待ち時間」「事務処理誤り件数」などの“成績”を競わされるようにもなった。

 ある社保庁OBは「間違って支給すれば事務処理誤りにカウントされるので、微妙なケースは『支給しない方が安全』となる。未熟なまま短時間で相談をさばかざるを得ないから、間違った説明や不親切な対応にもなる」と指摘する。「そうした影響を、最も受けているのが障害年金だ」

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職員半数超が非正規

 有名人の年金記録のぞき見や汚職事件などの不祥事続発で社会保険庁が廃止され、2010年1月に発足したのが日本年金機構だ。「公法人」という位置付けで、職員は公務員ではない。国からの委託で保険料徴収や記録管理、給付実務といった公的年金の運営を担う。全国312カ所に年金事務所があり、職員数は今年4月現在、約2万2千人。半分以上を非正規の有期職員が占める。


掲載誌(順不同): 東奥日報(青森県)2015/05/11朝刊〜; 河北新報(宮城県)2015/05/12夕刊〜; 秋田魁新報2015/05/11朝刊〜; 山形新聞2015/05/12朝刊〜; 北國新聞(石川県)2015/05/13朝刊〜; 埼玉新聞2015/05/11朝刊〜; 千葉日報2015/05/12朝刊〜; 四国新聞(香川県)2015/05/11朝刊; 西日本新聞(福岡県) 2015/05/13夕刊〜; 長崎新聞2015/05/11朝刊〜; 熊本日日新聞2015/05/13夕刊〜

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